猫の甲状腺腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰分泌される疾患です。
甲状腺ホルモンは臓器の働きを調整する役割があるため、過剰分泌されると全身の臓器に影響を与えます。
体重減少や多飲多尿、嘔吐などの症状が認められることが多く、放置しておくと亡くなる危険性もあります。
10歳以上の猫では8%以上が甲状腺機能亢進症であったという報告があり、高齢の猫でよく認められる病気の一つです。
甲状腺機能亢進症の症状
一見すると病気らしくない行動が特徴的ですが、症状が進行すると体力が低下し最終的には食欲も低下していきます。
体重減少
食欲が通常より増す
多量に水を飲み尿量も増える
嘔吐や下痢
攻撃性が増す
落ち着きがなくなる
目がぎらつく
毛づやが悪くなる など
甲状腺機能亢進症の治療
一度発症してしまうと完治することはないとされており、外科治療により根治の可能性は望めますが、病状によっては生涯に渡って付き合っていかなければならない病気となります。
その中でも内科治療において、日本ではメルカゾール(別名:チアマゾール)という商品が主に使用されています。
猫の甲状腺治療薬「メチマゾールスポットオン」「フェリマゾール」はどちらも有効成分にメチマゾール(チアマゾール)を含んでいます。
チアマゾールは、甲状腺においてペルオキシダーゼ酵素を阻害することによって、甲状腺ホルモンの過剰な合成を抑えます。
甲状腺ホルモンによる過剰な新陳代謝を抑える薬です。
メチマゾールスポットオン
メチマゾールスポットオンは、耳(耳介)に塗布することで簡単に治療ができるスポットオンタイプ商品です。
従来の錠剤タイプを分割することによる苦味で投薬を嫌がる猫が多かったことから開発されました。
海外では既に動物病院で処方されており、良好な成果が得られています。
1日1回、1回あたり本剤0.1mL(10mg)を目安に耳介内側に塗布します。
飼い主は付属の指サックを着用のうえ塗布してください。
毎日塗布する場合は、交互の耳介に塗布してください。
有効成分
1mLあたり:メチマゾール 100mg(10% w/v)
NMP(メチルピロリドン) 1〜10% w/v
フェリマゾール
フェリマゾール2.5mは、有効成分のチアマゾールを含有する猫用の甲状腺機能亢進症治療薬です。
有効成分
1錠あたりチアマゾール 2.5mg
最初は、チアマゾールとして2.5mg(1錠)を、1日1回、2週間経口投与します。
臨床的な副作用が認められず、CBCおよび血小板に異常がなく血清T4濃度が2mcg/dL以上であれば、用量をチアマゾールとして2.5mg(1錠)を、1日2回へ増量して、2週間後に同様の検査を行います。
用量は2週間毎に1日2.5mg(1錠)ずつ増量して、血清T4濃度が1〜2mcg/dLの間になるように調節します。
血清T4濃度が重度に上昇している症例で、かつ腎障害、腎不全の兆候が認められない場合は、チアマゾールとして5.0mg(2錠)を、1日2回、経口投与で開始します。
もし、腎不全の兆候があるか疑わしい場合は、チアマゾールとして2.5mg(1錠)、1日2回、経口投与とします。
もし、尿毒症が認められ明確な腎不全が認められる場合は、チアマゾールとして1.25mg(0.5錠)を、1日2回、経口投与とします。
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